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[学長通信vol.9] 行動変容の難しさ ~わかっているけどやめられない!~

‘わかっちやいるけどやめられねぇ’は、1960年代に大流行したスーダラ節の中のキャッチフレーズである。これは、浄土真宗によると「人間の矛盾をついた真理」であるそうだ。若かりし頃、保健指導が上手くゆかずに悩んでいたころに、この語句に励まされたことを思い出す。誰にでもこのような経験はあったのではないだろうか。
開学以来、私は全国健康保険協会(協会けんぽ)鳥取支部の健康づくり推進協議会委員を務めている。常に話題になっているのは、受診率の低迷である。鳥取県医療費適正計画案(平成29年11月)によると、本県は特定健診受診率が低く(全国33位)、受診率向上のために受診勧奨にも力を入れるとある。最終的には個人の理解と実践にかかっているものの、受診への動機づけとともに、生活習慣の改善に取り組まねばならない。ここに行動変容の難しさが潜んでいる。
この現象を、意識変容および行動変容の理論で解釈してみたい。要するには、どれくらい住民は意識変容の機会に恵まれているかにかかっているように思われる。すなわち、勧奨の内容になると思われるが、健康保持増進に関するパースペクティブ(考え方・価値)の変容プロセスを時間軸・空間軸を基底にしたプロセスをていねいに歩んできているかではないだろうか。価値の受け入れにおいても、教育心理学者であるB.S.ブルームによれば、微細な過程(受け入れ➡反応➡価値づけ➡組織化➡個性化)があると述べている。高齢社会においては、少なくとも早期発見・早期治療の価値だけではない志向がはたらくことを踏まえたい。
特に行動変容の具体の場面では、鳥取では「我慢強い」という文化の影響を受けやすく、それが未受診として裏目に出てくる場合もあり、空間軸の意思決定支援とともに人間関係による支援が大きいと思われる。もっと具体的に言えば、各位の生き方・受診が自らの生活の中でどのような意味を持つかなど、行動にたどり着くための動機づけと共同体としての誘いの支援が必要ではないだろうか。
鳥取看護大学
学長 近田 敬子
(2019年10月28日掲載)

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