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[近田学長通信vol.7] 看護界のニュース~訪問看護師倍増策推進に思う

日本看護協会は、この7月に2025年に向けて訪問看護師倍増計画を提案した。すなわち、訪問看護従事者数、約4.7万人(2016年)から12万人への増加に向けた方策が発表された。訪問看護ステーションの組織強化や体制強化等が解説されている(協会ニュースVol.622)。この動向を踏まえながら、一教育機関として看護継続教育にどのように関われるか、および看護基礎教育においてもどのような役割が果たせるかを真剣に検討しなければならない時期に来ている。
看護大学入学当初には、毎年、「訪問看護に従事したい」という学生の声を、チラホラと聞いている。どちらかと言えば、私は卒業直後に訪問看護事業所等に就職するのではなく、病院での経験を得てからが望ましいと考えていた。その理由は、①アセスメントが充分にできるようになってから、②急変対応などの技を身に付けてから、③新卒者の教育体制が不充分だからなどと思っていたし、発言もしていた。よって、地域に貢献できる人材としては、どの場で働いていても、常に「地域を見据えた看護ができる」従事者であってほしいと、結論づけていた。しかし、もうそのような時代ではないように思われる。
確かに近年、新卒訪問看護師の動向も徐々に情報が入ってきている。「治す医療」から「支える医療」においては、看護のあり方も異なるはずである。特に、患者は病院ではお客様であるが、在宅では主(あるじ)である。この違いは大きい。どの医療従事者であっても、‘土足で相手の生活に入り込む’ことは許されない。このように、「支える医療」は方法論が異なり、看護基礎教育においても経験する事柄が違うと思われる。とは言え、学生の学習をどのように構造化するかは、これからの課題である。
鳥取看護大学
学長 近田 敬子
(2019年10月1日掲載)

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