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[学長通信vol.5] 世間話の効用

この度は、私の入院体験からの話題である。ある日、受け持ち看護者と病気に関係のない話で盛り上がるひと時をもち、苦痛から解放された瞬間を味わったことがある。その余韻も残り、看護としての世間話の効用を感じた。具体的には気候や食べ物、スポーツの話題などから入ることが多いが、場を踏まないと話がスムーズに運ばない。このことを強調する背景には、少なくともバイタルチェックや点滴管理だけのための訪室で終わる看護者にはなってほしくはないからである。では、看護基礎教育のどこでこの世間話・雑談力が培われていくのだろうかと、考えてみた。
鳥取看護大学の学生は、住民の方々と接する機会を多くもち、公民館などで比較的健康レベルの高い人々と出会うことから初期実習が出発している。同時に、大学の地域貢献活動である「まちの保健室」に参加し、4年間をとおして住民の方と関わることが多い。これらの場が、教科書には出てこない範疇の世間話・雑談ができる力を、否応なしに醸成しているように思われる。
すなわち、公民館や「まちの保健室」では、どの場面においても来室した初対面の異年齢の住民の方と向き合うことから始まる。比較的健康な方が多いので、病気の話題からではなく、日々の生活の中から健康に絡めた話題に迫っていく過程があり、かなりの技術を要する。その過程において、特に導入として世間話や雑談が必須となってくる。学生は、試行錯誤しながら奮闘しているに違いない。繰り返しになるが、どの看護場面においても、相手の状況に合わせながら生活感のある日常的な話題に触れ、話を和ませる技法は必須であると考えている。この力は、病院の臨地実習においても必要不可欠である。意図して経験していってほしいと思っている。
鳥取看護大学
学長 近田 敬子
(2019年9月2日掲載)

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